フグは怖い。毒の差はまちまちで同定も難しい

フグは怖い。毒の差はまちまちで同定も難しい

Yahoo!ニュースより

フグ料理で店主死亡、客重体=調理免許なし―愛媛(時事通信)

どうやら、フグの「肉」「白子」だけでなく「肝臓」も食べたことに加え、「無免許」であったというのです。

(もっとも、ふぐ調理師免許をもっている方は内臓を客に食べさせるようなことはないでしょうが・・・)

フグの種類はわかりませんが、基本的にフグ科魚類はみな肝臓などの内臓に毒を持っているのです。ですからどのような種のフグといえど、内臓を食すべきではないのです(精巣、すなわち「白子」には無毒のものが多く、筋肉と皮とともに食用にされているものもいます。可食部位は、「筋肉」「皮」「精巣」としていたと思います)

しかしどうやら、「肝臓に毒のない個体もいる」ということが研究によってわかっているらしく、肝臓を食べても死なない(あたらない)ケースもあるそうですが、これがこのような危険な習慣を生んでいるのかもしれません。

フグには他にも、危険がたくさんあるのです。

1.個体によって毒の差がまちまち

上でも述べましたが、フグは同じ種類でも個体によって毒の量が違ってくることがあります。今では産地によっても毒の有無や毒性の強さが分かっているそうです。たとえば、東北のある地域ではヒガンフグやコモンフグの毒性が強く食することができません。

一方でナシフグというフグは、かつては食用可のフグとされましたが、90年代までに各地で食中毒が発生、食用禁止となっていました。しかし、有明海や橘湾産のものの活魚は無毒とされ、条件付きで解禁されました(ただし本種の場合、採集場所にかかわらず無毒ともいわれています。死後、皮に含まれる毒が筋肉に移行する可能性もあるのだそうです)。したがって、処理や保存方法が悪くても、毒を持つ可能性が出てくるということです。

2.同定が難しい

日本には筋肉に毒がないサバフグ属魚類として、シロサバフグと、クロサバフグ、カナフグの3種が知られています(他は有毒、もしくは毒性不明)。これらのフグは惣菜や干物、鍋など人気がありますが、これらのフグとよくにたドクサバフグというのがいて、これは内臓はもちろん筋肉にも強い毒があり、食用不可とされます。実際に1959年に4名の死者を出しています。

ドクサバフグは非常にシロサバフグやクロサバフグにそっくりで、体背面の棘の分布や尾鰭の形状などに差がありますが、見分けるのが非常に難しいのです。

3.交雑しやすい

フグの仲間は交雑種も多く報告されています。基本的にフグの卵は沈性粘着卵で、雌に対し多数の雄が追尾して産卵、その「多数の雄」のなかに異種のフグが混じることもあり、交雑も生じるようです。トラフグ、コモンフグ、クサフグ、ナシフグ、シマフグなど、多くの種で見られるようですが、雑種のフグの毒性は、現状ではよくわからないのだそうです。→毒性不明、食用不可。

したがって、フグの仲間は自分で釣って食べるべきではないのでしょう。今では船宿でもふぐ調理師の宿主(?)がつったフグを料理してくれるところがあります。そういう方々にお任せするのがベターでしょう。

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コメント

  1. らいあます より:

    フグの毒に個体差があるのは知りませんでした.
    それが,毒に当たってなくなる人が絶えない要因の1つになっているというのも納得です.

    サバフグ類は昔,同定に苦労した覚えがあります.
    形態的に似通っているのは,交雑もあるほど種分化がすすんでいないせいなのかもしれないですね.

    興味深い話です.

  2. さくぱけ より:

    お久しぶりです。去年サバフグを飼育していました。種類はわからなかったのですが(汗。
    ウツボと混泳させたら食べられてしまいました・・・他にもトラフグ、ヒガンフグなど色々組み合わせてみてもウツボが齧ったり丸呑みにしたりしていなくなってしまいました。人間は中毒を起こしますが同じ魚類ではどうなのでしょうか?トラフグは養殖ものは大丈夫なようですが・・・

  3. MARI-J より:

    今回のはヒガンフグみたいですね。
    東京湾でフグ釣りといえばショウサイフグですが
    今シーズンはヒガンフグが異常に多いので、
    アカメフグ船と名を変えているところも・・・
    私も一度、乗ってみようかと思ってます^^

  4. 椎名 より:

    らいあますさん

    サバフグ類は難しいですよね。私は幸いにも同定が難しい種には未だ出会っていませんが・・・まあ食べないので、ドクサバフグが来ても大丈夫です(笑)

    あと昨年、「モトサバフグとシロサバフグが同種」という話も出ていましたね。その手でいえば、シロサバフグにも地域によって毒があるということになるようです。怖いですね。

  5. 椎名 より:

    さくぱけさん

    サバフグ属は数あるフグの中でも特に同定が難しいグループだそうで、センニンフグの類はわかりやすいのですが、シロサバフグのグループは、熱帯のものなどかなり難しくなります。

    捕食魚が毒をどうやって無毒化するかは、わかりませんが、大昔にスズキを釣った時に、フグを食べてました。バイでは、フグの内臓を食べると、中腸腺に毒をもつのが出るそうです。

  6. 椎名 より:

    MARI-Jさん

    あら、今回のはヒガンフグなのですね。ショウサイフグはそちらで一般的な釣りものですが、肉にも毒があるらしく、お子さんに食べさせるのは危険だそうです。お気をつけください・・・

    関東ではヒガンフグが多かったのですね。高知はコモンフグばかり、サザナミフグも少なかったです。

  7. アイラ より:

    無免許で内臓まで…こわいっすね…
    昨年末の和歌山はサザナミフグ多かったです。
    瀬戸内海はコモンフグとクサフグが多くてつりにならず…
    釣りビジョンの某伊勢湾の船釣りの竿頭がフグ釣りのクーラー開けてる映像ありましたが…
    ヒガンフグだらけ…
    それは…あかんやん…っておもいました。

  8. 椎名 より:

    アイラさん

    怖いですよ~フグは。和歌山ではサザナミフグ釣られていましたね。瀬戸内はコモンフグとクサフグがフグ科の代表ですが、サザナミフグもいないことはないと思いますよ。

    三重のヒガンフグってどうなんでしょうね。有る程度南にいけばアカメフグも見れるようですが、ヒガンフグとは毒のある部位もまた違うそうで注意しないといけません。

  9. 相模湾 より:

    築地でフグをたくさん見ることが出来ました。雑種も多く、勉強になりました。モトサバ&シロサバの問題も、そんな中で出てきたことが発展しました。

  10. 椎名 より:

    相模湾さん
    そうなのですか。それは面白そうな話です。市場でも実際に雑種はたくさん出てきるのですね。
    分子分類学が今は主流になってきていますね、形態だけでは難しい・・・