変わったクロユリハゼ属

変わったクロユリハゼ属

つい最近水槽に入れた、クロユリハゼ科・クロユリハゼ属の1種Ptereleotris sp.です。

本種を観賞魚店(瀬戸の「ラパス」)で初めてみたときは、体側の黒色帯が明瞭だったのでやや珍しい種Ptereleotris melanopogon Randall and Hoese,1985であると思いましたが、その後観賞魚店で見たところ、「黒っぽいひげ」などの特徴はなく、かわりにオレンジ色の模様があり、ハナハゼの仲間のようでした。写真でも不明瞭ではありますが、うつっていますね。

こういう大型のクロユリハゼ属は観賞魚として入荷するのはあまり多くない(幼魚が多い)のですが、今回は私のために仕入れていただきました。さらに細めのクロユリハゼの仲間はやせていてなかなか餌を食べないのもいますが、今回のは餌食いもよい個体でラッキーでした。

黒い帯と平行した橙色の帯があるのが特徴です。尾鰭は糸状にのびません。

写真のハナハゼPtereleotris hanae (Jordan and Snyder,1901)が、南日本では普通に見られるのですが、今回入手した個体と違って尾鰭の軟条が糸状にのびています。本州から九州に生息するものでは6本ほど伸びていますが、このほかに近縁種が2タイプいて、それは尾鰭の上・下の2本のみが伸長します。

ハナハゼにも体側にオレンジ色の縦帯があります。この縦帯とよく伸びる尾鰭が美しくはなやかであることから「ハナハゼ」というのかと思いきや、東京大学・三崎臨海実験所の、箕作佳吉博士令嬢のお名前から来ているそうです。箕作博士は、「ミツクリザメ」などに献名されたことでもよく知られていますね。

本種の正体は??

クロユリハゼ属の仲間は2008年にもいくつかの種類が新種記載されるなど、あわただしいのですが、この個体はハナハゼの近縁種で間違いはないでしょう。「魚類写真資料データベース」では、本種と同じと思われるものがいくつか掲載されていまして、「ハナハゼ近似種2」となっていました。撮影された場所は西部太平洋の比較的広い範囲におよび、沖縄県からの記録もありました。ちなみに「ハナハゼ近似種1」は尾鰭の上・下の軟条のみが伸びているやつでした。

水槽内では

この仲間は臆病でやせやすく、複雑にサンゴやサンゴ岩などでレイアウトされた水槽ではすぐにヒッキーになってしまうので、オープンな環境ですこし岩がある、というような水槽が飼育にはよいかもしれません。もちろん、本種の遊泳に悪影響のあるクマノミやスズメダイなどは避けたいところ。

ほかの魚には基本的に無関心。同じクロユリハゼ科でも属が違うシコンハタタテハゼNemateleotris helfrichi Randall and Allen,1973や、サツキハゼParioglossus dotui Tomiyama,1958に攻撃もなにもしません。ほか、同属のクロユリハゼPtereleotris evides (Jordan and Hubbs,1925)がいますが、無視しています。大きさが違うからなのでしょうか。ただこの属は同属ではあまり争わない種類とされています。

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