「ガー」騒動から見えるもの

「ガー」騒動から見えるもの

世界最大級の淡水魚、在来種襲う・・・生息地拡大(讀賣新聞)

要は、飼育されていたとみられる「アリゲーターガー」が、捨てられて在来の魚を食い荒らす。けしからん、こんなのは「特定外来生物」に指定して飼育や輸入を禁止するしかない、ということだ。環境省がここまで言ってるということは、彼らはホンキだ。確実に飼育・販売を禁止する構えだろう。環境省はアクアリストから批判の目を向けられるであろう。しかしながらなぜこのようなケースが起こってしまったのか。それを考えると、環境省を批判するのは違うのかもしれない。

アリゲーターガーは成長すると3m近くにもなる、北米のモンスターフィッシュである。勿論、日本にはいない。海にも生息しているが、日本と北米大陸の間には、広大な太平洋がある。アクアリストが手放したのだろう。
日本の観賞魚店には、このアリゲーターガーの他にも、アロワナ、コロソーマや各種大型ナマズなど、飼育することは困難ではないが、かなり巨大になる魚がたくさん販売されている。日本のアクアリストは、それらの魚を巨大な水槽で飼育して楽しんでいる。
しかしその一方、住宅の事情等、大型の水槽を置くことができないような人もいる。安価で購入できる60cm水槽で飼育を楽しむアクアリストが多い。さらに先ほど述べたような「大型魚」は、多くが幼魚の姿で販売されている。ガーの仲間も、他巨大になる魚も、幼魚は極めて可愛いのだ。それを知らないで購入する。

シミュレートしてみよう。赤がアクアリスト、青がペットショップの店員だ。そのアクアリストは60cm水槽しか持っていない、家はぼろいアパートでこれ以上大きな水槽はおけない。
あまりにも可愛いレッドテールキャットというナマズが販売されていた。価格も1000円ちょいで購入できる。「可愛い~!これ買おう。店員さんこのレッドテールキャットください。」「わかりましたー。」「はい、1200円となります」「うん、ありがとう、バイバイ」

60cm水槽で飼育する・・・。持て余して水槽で飼育できなくなるのも当然といえよう。これはアクアリストとその大型魚を販売した観賞魚店に問題がある。観賞魚店は、その魚がどのくらい大きくなるかを購入者に伝えなかったし、アクアリストの方は購入する魚についての情報を得ることがなかった。

観賞魚店は私が把握している限り三つのタイプがある。1.大型のお店 2.小さなお店。そして3.ネット販売だ。

1.大型店は、魚の種類が極めて多く売られている。その中には60cm水槽で終生飼育するのはできないものもいる。しかし店員さんは多くの場合魚への愛情と知識があるので、なんでも聞いてみて欲しい。

2.小型店は魚の種類は大型の店舗ほどではないが、店員さんによるきめ細かいサポート、あるいは相談を受けられることが多い。

3.のネット販売は最近「はやり」の業態だ。私はそうではないが、観賞魚は多くの人にとっては「趣味」でしかない。地域によっては店舗を出すのもリスクがある。そういうことで現在店舗を持っていても、インターネットでも販売しているというケースがよくあるのだ。これについては勿論店員さんからのサポートを受けることが困難だ。少なくとも魚を「カートに入れる」前に、その魚はどのくらいの大きさに育ち、どんなものを食し、どのくらいの温度で飼育する、か調べるのが大事だ。また良心的なお店では少ないが、病気の魚を販売したりするケースも存在する。上級者向けの買い方ともいえるかもしれない。

話をシミュレートに戻そう。そのアクアリストは60cm水槽で小赤爆食いで日に日に大きくなっていくレッドテールキャットをどうすればいいか悩んだ。ここでこのアクアリストがとりうる行動は以下のようになる。

  1. 川に逃がす
  2. 購入したお店に引き取ってもらう
  3. インターネットの掲示板などで引き取り先を探す
  4. 殺処分する

この中で一番ベストなのは2.だろう。購入したお店で引き取ってもらう。これが一番よい手段だ。3.の引き取り先を探すという手も考えられるが、これにもリスクはある。引き取り先の相手がどんな人かわからないからだ。しかし最近はアクアリストのオフ会みたいなイベントも多く、面と向き合って話ができる場合もある。

4.はやってほしくない。ただ1よりはまだマシだ。魚を飼うということは楽しい。癒される。心をはぐくむ。勉強にもなる。しかし、その魚の一生を左右するということでもある。だから殺めてほしくないのだ。もっとも2.と3.の策がついて最後の最後に使われるべき手段ではある。少なくとも1以外の手段を取るべきであろう。最も近年は日本観賞魚振興事業協同組合などのような業界団体が引き取りのシステムを構築してくれているのでそのような対応をすべきケースは少なくなっているかもしれない。

いずれにせよ今回のようなガーのケースはアクアリストやそれを販売する観賞魚店がキチンと対応していたら防ぐことはできたはずである。そしてそれがなされていたら今回のような事態は防げたかもしれない。

Yahoo!のニュース記事についたコメントを見ていると多くの人が「あんなの飼えない」といっているが、個人で超巨大な水槽を維持して飼育している人を知っているのである。他のコメントとしては「すべての生き物を飼うのは許可制にすべき」「登録制にすべき」と言っている人もいる。しかし日本では古くより外来の生物である「キンギョ」を愛したり、生き物を野山や海、川から自分で採集して飼っているアクアリストは沢山いる。そして、その生き物に対する想いはほとんどアクアリストの根幹ではないかと考えられる。確かに、今回のアリゲーターガーのように飼育を許可制にすべき、という生き物も多い。しかしそれは必要最小限にとどめるべきだと考える。

私の意見を述べると、まずこの種の飼育は許可をえて飼育すべきかもしれない。ちなみに特定外来生物は、新規に飼育することは、たとえ許可をとろうとしても認められない。これは分布が広がるのを防ぐためである。一方許可を得ることにより飼育できるのは、「特定動物」。それらには屋内で飼育することや、マイクロ・チップを埋め込むなどの条件がある。この点については飼育困難になった場合の対処方法などについてもきちんと決められ、違反したら罪に問われるのである。この「特定動物」には大型の鳥類や、クマの仲間、大型猫の仲間、オオカミなどの哺乳類、毒蛇、ドクトカゲ、ワニや大型のニシキヘビなどの爬虫類が指定されているが、魚類は対象外である。しかしながらこのような大型魚を逃がさないように、あるいは逃げてもすぐにわかるように特定動物と同様の対処をすべきだと思われる。「飼育を禁止するべきではないが、ごく一部の種については許可制にすべき」というスタンスだ。それか「特定外来生物を新規に観賞する目的で飼育しようとするときにはマイクロチップの埋め込みや、飼育困難になった場合の対処」などをきちんとし、その代りに「新規に飼育できる」ようにするべきではなかろうか。もっとも、環境省の人間は、この意見に耳を貸してくれないと思うが。

環境省というのは、まさしく「オウム真理教」と同等である。採集の規制なども含め、残念ながら規制を推進する人のいうことしか聞き入れない。自然を愛するよりも「規制を愛する」省庁と言った方が正しいかもしれない。つまり今回のアリゲーターガーの輸入・販売、飼育などの禁止も100%決まってしまうものと思われる。私たちにできる唯一のことは、この件を教訓にし、さらなる外来種が日本の野に放たれてしまうことをいかにして防ぐかということだ。そのためには外来生物を外に放つことを禁止する法律を作ることである。
日本では外来の植物が道路や公園、庭などに植えられているが、そのようなことも議論されるかもしれない。しかしまずは、自由に動くことができる哺乳類、昆虫類。そして水があればさまざまな場所へと動くことができる淡水魚類。少なくともこれらを野に放すことを禁止する法律をつくらないと、また魚好きが悪者にされてしまうし、何よりもこの仲間を飼育することを楽しむアクアリストも悲しいことになってしまう。

●ガー科

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コメント

  1. さくぱけ より:

    お久しぶりです。mixiではお世話になりました。
    一昨日調べて知ったのですがナイルパーチなども指定されていてびっくりしました。
    これからショップには飼育してた方達からの下取りが大量に来るんじゃないでしょうか。
    逃がさないだけもちろんマシだとは思いますが・・・里親も探すのも面倒くさいから今のうちに逃がしちゃおう・・・みたいな人がいなければ良いですが。
    ホームセンターの端っこみたいな60cm水槽も在庫無い様な所でもスポットナイフやらエンドリやら売ってたりしますもんねー、店員はいないし。

  2. 椎名 より:

    あら~お久しぶりです。mixi全然更新してなくてびっくりでした。

    そうなんですよ~。新しく飼育は禁止、いままでの個体も規制はしないけど手続き面倒くさい→ぽい、なんてならないとよいのですが・・・。
    これからアクアリストが肩身の狭い思いをしなければならないかもしれないのはいやですね。