特定外来生物 見えないからこそ怖い

特定外来生物 見えないからこそ怖い

▲福岡県の或川で採集したドジョウ。しかしそれは本当に元々或川にいた個体だろうか?

環境省は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」いわゆる外来生物法のなかの「特定外来生物」指定種を増やす構えだ。今回は特に「魚類」に対象種が多い。従来はオオクチバス、ブルーギル、チャネルキャットフィッシュ、カダヤシ等定着しているものが多く、ほかコウライケツギョ、モトケツギョ、パイク類などくらいであったが、今回は、定着していないものの指定種が増えているのである。

新しい対象種は定着しつつあるもの、あるいは定着しているものはオオタナゴ、コウライギギ、くらいであり、他にヨーロッパオオナマズ、ナイルパーチ、その他にガー科の魚全種などが指定される構えである。

よく多くの人が種の指定をすることにより、外来生物から日本の在来生物を守ることができるのではないか。よい法律じゃないか。あるいは、すべての生物の飼育を規制すべきとか、そのような声を聞いたり、インターネットの掲示板やコメント欄に書いていたりするが、残念ながらこのような人たちは別に魚や生き物への関心が薄いからこそそのような発言をするのである。しかし、このような発言がでるということは魚であるとか、あるいは土地の生物に関心も愛着もないということで、逆に非常に危険な兆候といえるのではないか、と考えられる。

生物を育てるのはとても楽しい。近所の川で採集してきたメダカやモロコなどからはじまり、熱帯の魚などにも関心を持つようになる。さらにそのような魚を繁殖させ楽しんだりする。そして魚が死んでしまったりすると悲しい。今の人たちは、そのような思いをしたことがないのかもしれない。だから平気で「安倍死ね」とか言ったりするようになってしまう。

もう一つは自分の住む土地に生息する生物の事を知らないと、のちにどんな外来種がそこに放たれ、それによりどのくらい在来の生物が減ったかわからなくなる。そして生物への関心が減り、川を護岸しても誰も気にしなかったり、ごみを捨てたりするなどの行為により、生物が住めない環境への「手助け」をしてしまうようなことがあるのだ。

しかしその一方、生物への関心をうむ方法が変な方向へ偏っていくのではないかという危惧もしている。よく川に色々なもの生物を園児や小学生が放流しているが、それについては非常に危険だ。先ほど登場したガーの仲間が1匹川に放されておこる問題は、在来種を食いつくし、生態系にダメージを与えるということだ。しかしガーは我々人間の目で見ることができる。放流されたら駆除すればいい。そう思っている人も多い。実際に放流によっておこることは、そんな生易しいものではないのだ。

例えば、そのガーに何らかの寄生虫がついていたらどうか。何らかの病原菌がついていたらどうか。そしてそれが在来の生き物にどのような影響を及ぼすのかは、未知だ。たとえば10年以上前のコイヘルペスウイルスも、そのような感じで伝染したのではないだろうか。

さらに遺伝子汚染の問題がある。コイヘルペスも、遺伝子についても、人間の目には見えないのだ。だからこそ、ガーや、ヨーロッパオオナマズの放流を禁止しても意味がないし、もし環境省が本当に日本の環境を守りたいのであれば、「すべての生物の放流を禁止する」というような法律が必要である。私は前に「その地域に生息していない生物の放流を禁止すべき」という考えを述べた。しかしそれでは、ナマズやモツゴなど、自然分布がどこまでなのか正確には明らかになっていない種もいるし、分布域の議論をしている間に、誰かが別の地域のナマズやモツゴを入れてその地域の集団が崩壊してしまう。さらに先ほどの病気であるとか、寄生虫とか、そのような問題が起こってしまう。だからこそ、生物の放流というのを禁止するべきであると思う。

そしてその禁止法ができれば当然魚の分布域が広がるわけがないのであり、現在の外来生物法が改正され、飼育や運搬の禁止は撤回されるべきである。いずれにせよ、現在の環境省の考えは、環境のことなどまるで考えない、政治家、お役人の「パフォーマンス」でしかないというのは、明白なのである。

●ドジョウ科 ●コイ科

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