ナガサキトラザメ

ナガサキトラザメ

板鰓類シリーズも勝手にはじめたはいいですがもう若干ネタが切れてきた感じが。
今日の紹介はメジロザメ目・トラザメ科のナガサキトラザメ。

ナガサキトラザメは体が同じトラザメ科のトラザメやナヌカザメと比べてほっそりしたような印象を受ける。体に小さな黒色の斑点が入る。まるでヒョウのような模様と思われるが、ヒョウザメという種類のタイワンザメ科のサメもいて、これはまさしく海のヒョウだ。以前はカリフォルニアに分布するドチザメの仲間に「ヒョウザメ」の名をあてていた本があったが、この名は現在はこの種に対しては使えない。これは先ほどのタイワンザメ科のサメの1種に充てられる名前だからだ。このほかに吻がやや短いことや体に白色斑を持たないことなども、他の日本産のトラザメ科魚類と区別するポイントである。

体に黒色の斑点が散らばることでほかの日本産トラザメ科魚類との区別は容易。

トラザメの仲間は基本的に卵生であるとされ、ナガサキトラザメも卵を産む。12~翌年の4月に卵殻に包まれた仔サメを7個体ほど産むようだ。

上の写真の個体の腹面。雄であろう。立派な交接器を有している。

こちらは雌と思われる。

分布域は北海道留萌~鹿児島県沖の主に太平洋岸、長崎県沿岸、東シナ海、韓国沿岸、そして台湾近海。日本では長崎近海で多く採集されていて、その地域では惣菜として食されているが他の地域では殆ど利用されない。しかしトラザメの仲間で、温和でありあまり広い飼育スペースが必要でないともいわれ、水族館の水槽で飼育されていることもある。日本に分布するナガサキトラザメ属のサメはこの種のみ。世界ではインド‐太平洋に7種が知られていて、その中には2007年に新種記載された2種を含む。いずれにせよ研究が進めばこの仲間もさらに増えるだろう。

生息水深は100m前後であり、まれに水深200mほどの深さの海域でも漁獲される。この個体は鹿児島県のやや深い海底から沖合底曳網漁業によって採集されたものである。アカタマガシラや、アカグツなどと同じような環境の場所に生息するようだ。いずれにせよ底曳網漁業では、あまり本種は有用でなく多くの場合は海へと戻される。沖合底曳網漁業で食用になるサメは、ほとんどがドチザメ科の種で、メジロザメの仲間、カスザメの仲間も練製品原料として水揚げされていたが、現在はあまりそういうのをさばく人や会社も少なくなってしまったようだ。

なお今回の標本は神奈川県立生命の星・地球博物館に送付した。魚類写真資料データベースの写真が更新され、同博物館の瀬能 宏博士撮影によるこの個体の標本写真が掲載された。番号はKPM-NR0108527。

以下は余談。暇な人だけ。

トラザメの仲間は英語でCat sharksという。Tiger sharkは、イタチザメのこと。一方でネコザメの類はbullhead sharsまたはPort Jackson sharksと呼ばれている。日本に生息する標準和名ネコザメはJapanese bullhead sharkと呼ばれているらしい(いずれもFishbaseのコモンネーム)。

●トラザメ科

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