ダイナンギンポ属の見分け方

ダイナンギンポ属の見分け方

GW~夏は海で遊ぶのに最高の季節である。防波堤で小魚釣りをしていたり、磯で遊んでいると、たくさんの生物が遊んでくれる。子連れで穴釣り・・・なんて人もいるようだが、そういうときに遊んでくれるのが、ダイナンギンポ属の魚である。

ダイナンギンポ属はスズキ目・タウエガジ科に含まれ、日本に3種がいる。ダイナンギンポ、ベニツケギンポ、そして近年新種記載されたモヨウダイナンギンポの合計3種である。そのうち、ダイナンギンポとベニツケギンポは、関東近辺で良くみられる2種である。

↑ダイナンギンポ

↑ベニツケギンポ

ダイナンギンポとベニツケギンポの区別方法はいくつかある。まず体のサイズ。ベニツケギンポは15cmほどとやや小さいが、ダイナンギンポは30cm近くなるものも知られている(写真の個体はほぼ同じくらいの大きさに縮小している。写真のダイナンギンポは198mm、ベニツケギンポは107mm)。ダイナンギンポの大きなものは、ウツボの仲間と間違えられることもあるが、ウツボの類にない背鰭棘や胸鰭があるなどの点で容易に区別できる。

次に特徴的なのは躯幹部腹側の側線。ダイナンギンポではとぎれとぎれになる、またはない。ベニツケギンポでは明瞭である。写真からみても、ベニツケギンポとダイナンギンポでは大きく違うことがわかる。

↑ダイナンギンポの側線

↑ベニツケギンポの側線

他背鰭棘数はダイナンギンポにくらべ、ベニツケギンポではやや少ない、さらに臀鰭軟条もベニツケギンポの方が明らかに少ないが、これらの特徴はいずれも腹部を見ないと、あるいは現物を見ないと確認しにくい。どんな魚でもそうなのだが、不明な魚が釣れた時はちゃんとそういうのも撮影しないと同定は難しい。

釣りをしている人はこの2種を「ギンポ」として片づけてしまうことも多い。しかしながら、標準和名「ギンポ」という魚は他にいる。ニシキギンポ科という、タウエガジ科とは別の魚だ。ギンポは東京では天ぷらで人気があるため、釣り人の間ではダイナンギンポとギンポを混同しやすいのかもしれない。

↑ギンポ

ギンポは岩礁域よりも藻場に多い印象がある。春に海藻の多い場所で餌を落とし込んでいったら釣れたりする。ダイナンギンポとは体側の模様の他、体が側扁している感じがする。また左右の鰓膜はタウエガジ科では分離するのに対しニシキギンポの仲間は癒合する。腹鰭はニシキギンポには小さいが見られ、ダイナンギンポ属ではないか、あっても極めて小さい。ダイナンギンポ属を含むタウエガジ科の魚にはあるものとないものがいる。フサギンポやナガヅカなどにはあるが、ガジやカズナギの類には見られない。

ギンポの場合、暑さに弱いようで、浅い海では夏はあまり見られなくなる。しかしながら写真の個体は8月に底曳網で漁獲されたもの。夏は涼しいやや深い場所で過ごすのかもしれない。水深200mほどの場所で採集されることもあるようだ。日本にニシキギンポ属の魚は5種が知られるが、関東地方の沿岸で見られるのは、ギンポ、あるいはタケギンポである。タケギンポはギンポに似るが尾鰭の色彩や胸鰭の軟条数、胸鰭の長さなどが異なるが、写真で見分けるのは難しい。

「ギンポ」という名前は「銀宝」というのをあてるようだが、語源はいくつかあるよう。魚類の分類階級(界・門・綱・目・科・族・属・種)で「ギンポ亜科」というものがいるが、これはイソギンポやヘビギンポの仲間を含むものであり、ダイナンギンポやギンポは、この中に含まれない。このダイナンギンポやギンポは、「ゲンゲ亜目」に含まれる。他、ベラギンポやトビギンポにも「ギンポ」と名前がつくが、これはギンポ亜目でもゲンゲ亜目でもなく、ワニギス亜目(トラギス等の仲間)に含まれる。

↑ギンポ亜目の代表的な科「イソギンポ科」の例(ロウソクギンポ)

ギンポ亜目にはヘビギンポ科、イソギンポ科、コケギンポ科などを含む。中にはノルウェーや北海道のような寒い地域にも生息するもの、ヘビギンポ科の或る種のようにニュージーランド近海の深海に生息するものなどがいるが、多くは温帯~熱帯の浅海に生息する。

一方ゲンゲ亜目にはタウエガジ科、ニシキギンポ科のほか、ゲンゲ科、オオカミウオ科、ボウズギンポ科などが知られているが、多くの種が寒帯から温帯域の冷たい海に生息している。熱帯域にも生息しているが、そういう地域の種は深海に生息している。分類学的上はカジカの仲間に近いとも言われていて、クサウオの仲間やダンゴウオの仲間などを見ていると、ああ、近いのかな、と思ってしまう。

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