カミナリベラ

カミナリベラ

夏の終わりになると、磯ではベラの幼魚が目につく。ホンベラの子は一様に緑色で目立つし、ブチススキベラは逆に枯れた海藻に擬態していて目立たない。オハグロベラも海藻の中にいて、茶色い体が保護色になっているのだろう。

高速で泳ぎ回るカミナリベラもまた、この時期の磯ではよく見ることができるベラの1種である。カンムリベラ亜科・カミナリベラ属。日本では新潟県佐渡・千葉県から琉球列島にまで分布し、日本海岸でも見ることができる。

▲カミナリベラ

幼魚は体に暗色の縦線が2本あり、背鰭後方に青黒い斑がある。雌は体に縦線があり、頭が赤く腹部に黒い点があるだけという色彩の種であるが、性転換して雄になると青色の線が出て派手な色彩になる。ベラの仲間は雌雄あるいは幼魚と成魚で色彩や斑紋が大きく異なっている物が多く、それぞれ別の和名がついていたりした。

▲カミナリベラ幼魚

カミナリベラの生息する場所は浅海の岩礁域で、紅藻がある場所で多く採集したような記憶がある。あるいはその周辺の砂底。四国の太平洋岸では数が多くごく普通に見ることができた。しかし防波堤で釣ることはできなかった。防波堤でも数多くみられ、釣れなかった理由は不明だが、ニシキベラなど他の食欲旺盛なベラがいたからかもしれない。だから今回紹介するカミナリベラはすべて小型の個体なのだ。
夜間は砂の中で眠るのだが、私は夜間岸壁についた海藻のなかから本種の幼魚を採集したことがある。その時は下はごろた石で、眠れそうな環境ではなかったからなのかもしれない。

▲アカオビベラの幼魚

琉球列島でも見られるという本種であるが、あまり見たことはない。この間訪れた喜界島では、アカオビベラが多かった。アカオビベラはサンゴ礁域の礁湖で小さな群れで見られた。前回は湾の奥の方でハラスジベラも見かけている。このほか私は採集していないが、オニベラも採集されている。しかしカミナリベラは全く見ていない。

カミナリベラに似ているものでカットリボンラスStethojulis interrupta (Bleeker, 1851)というものがいるが、雄の体側の帯がつながっているのが特徴のようだ。カットリボンラスは日本からの記録はなく、フィリピンから南アフリカまでのインド-西太平洋に広く分布し、日本や朝鮮、中国、あるいは台湾、東沙といったところにはカミナリベラが分布する。実際にこの2種は別種とされていることが多い。

ただしカミナリベラとカットリボンラスの差異は小さいとも言われ、亜種とされたり、同一種の地域変異とされている場合もある。ちなみに魚類検索図鑑のカミナリベラの学名はStethojulis interrupta terina Jordan and Snyder, 1902、ベラ&ブダイ図鑑のカミナリベラの学名はStethojulis interrupta の学名である。FishbaseではStethojulis terina Jordan and Snyder, 1902とされているのがカミナリベラと思われる。いずれにせよ、この問題の解決が待たれるところだ。

この属の魚の飼育は、意外と難しいところがある。元気に飼育できていると思っても、砂から長い事出てこなかったりする。強い性格の魚に追われると引きこもりになってしまうのかもしれない。おとなしい魚と飼育するのが良いと思われる。この仲間は観賞魚店で販売されることは殆どない。自分で採集してくるしかない。

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