ホンベラ属交雑個体

ホンベラ属交雑個体

もう8年前に「セイテンベラ?」というタイトルでブログの記事を書いたことがある。「セイテンベラだと思うのだが、微妙に模様が違う」と記事で書いた。高知県の砂地で採集した、奇妙な小さいホンベラ属の魚。

これは大当たりだったようだ。例の「ベラ&ブダイ」にこのベラが掲載されていた。

244~246頁「ハイブリッドなベラたち」の中の「セイテンベラ×ミツボシキュウセンの雌相と思われる交雑個体」だそうだ。セイテンベラの雌相の場合頭部から尾鰭の基部にかけて黒いラインが入るがこの個体は途中でピンク色になり、尾鰭基部付近には黒い斑点が入るというミツボシキュウセンの特徴も併せ持つ。

セイテンベラの雌の写真は私は持っていないが、興味がある方はググって調べてみてほしい。一目で普通のセイテンベラと違うことがわかる。

ミツボシキュウセンの幼魚。幼魚の尾鰭基部付近には黒い点がある。尾の点はセイテンベラでも出ることがあるようだが、あまり明瞭ではない。ミツボシキュウセンの場合幼魚の尾の点は小さく、成長すると大きくなるようだ。

ミツボシキュウセンで面白いのは、雄と幼魚では黒い斑点なのに、雌の成魚ではオレンジ色の斑になるということだ。幼魚は尾鰭基部付近に小さい黒色斑が二つあるが、その後雌はオレンジ色の斑、大きな雄は黒色斑になるのだ。上の写真は其々、幼魚、雄、雌の個体。

雄はこの仲間の他の種類同様に極めて派手な色彩となる。頭部のピンク色の斑紋がオシャレだ。しかし幼魚は白っぽく黄色い線が鼻に走る程度で、成魚に比べて地味である。成魚の方が幼魚より綺麗なのは、同じサンゴ礁の浅瀬に生息する魚の代表的なグループであるスズメダイ科の魚とは対照的なところだ。

ミツボシキュウセンの吻

交雑個体の吻

上の個体が成長したもの。

ミツボシキュウセンもセイテンベラにも、幼魚期には吻部に黒色点がある。成長して6cmほどになった個体にも、交雑個体にはこの黒色斑があった。黒いゴマを付けた子供みたいで、可愛いものだ。

セイテンベラの分布域は八丈島、和歌山、高知県柏島やその周辺、愛媛県、屋久島、琉球列島であるが、琉球列島以南。海外ではインド-西太平洋(東アフリカ~ニューギニア)に見られる種。ただし私は琉球列島でセイテンベラを見たことがない。一方ミツボシキュウセンは静岡県伊豆半島以南の太平洋岸、琉球列島、西-中央太平洋、クリスマス島、ローリーショールズ、ココスキーリングに分布する種。日本ではとくに琉球列島に多く、沖縄や鹿児島県喜界島の浅瀬では多くの本種の姿をみることができる。

味の方だが、沖縄ではあまり食されていないのか食味の情報はほとんどない。しかしミツボシキュウセンは名前からお察しできるようにキュウセンのように大きくなり、美味なものと言える。セイテンベラは食したことはないが、これも美味しいに違いない。ミツボシキュウセンは磯遊びでも簡単に採集できるし、投げ釣りでも簡単に釣れる。飼育については非常に簡単で、60cm水槽でも長期飼育が可能。注意点としては1.夜間砂に潜って寝るので砂を敷くべきということ、2.小型の甲殻類は餌になってしまう恐れがあるので一緒に飼育するべきではないこと、3.逆に大きな甲殻類には捕食される可能性があるため一緒に飼育すべきでないこと、である。この貴重な個体も、残念なことにオトヒメエビに捕食されてしまったのだ。

●ベラ科

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