ネンブツダイの仲間4種の見分け方

ネンブツダイの仲間4種の見分け方

9月も半ばになった。この時期は、釣れる魚の種類が一番多いといえる。

その中で面白いのは夜釣り。キビナゴやオキアミを餌にフエダイの仲間など岸から大きな魚を狙うのだ。
でも勿論、そんな魚ばかり食ってくるはずもない。ウツボやテリエビスなどのように、咬まれたり刺されたりすると痛いものも多数いる。勿論夜は暗いので、釣りをするだけでも気をつけないといけない。

夜釣りではウツボやテリエビス以外にも、さまざまな魚が釣れる。多いのはテンジクダイの仲間だ。テンジクダイ科の魚は、日本にも100近くの種類が生息していて、似ているのも多く、わかりにくい。しかし多くの種類が琉球列島や小笠原諸島に生息し、本州~九州の太平洋岸には、釣り人を惑わせるような種はあまり多くない。しかし、それでも混同されることがあるので、本州~九州の太平洋沿岸でよく釣れる、テンジクダイの仲間2種の違いをおさらいしておきたい。

よく釣れるテンジクダイ類2種

私が本州から九州の太平洋岸で釣ったテンジクダイの仲間は、恐らく10種を超えると思われる。体に頭部から尾柄まで伸びる縦線があるものも釣っているが、特に多く釣っているのが尾柄まで伸びる縦線を有しないネンブツダイと、クロホシイシモチの2種類である。

ネンブツダイ 宮崎県日南市 外之浦漁港

クロホシイシモチ 高知県 柏島

ネンブツダイもクロホシイシモチも両方「ネンブツダイ」と呼ばれていることがあるが、この2種は明らかに違う魚である。

ネンブツダイの特徴は、頭部と背中に黒い線が入ること。このうち頭部の眼を通る帯はクロホシイシモチにもあるが、クロホシイシモチの場合、鰓蓋付近にまで達しないものも多く、またクロホシイシモチの背中には黒い線がないことで区別できる。

クロホシイシモチには頭頂部に黒い斑点がある。この黒い斑点がないネンブツダイとの区別は意外にも容易だ。下顎先端が黒いが、ネンブツダイもクロホシイシモチほどではないものの、下顎先端が黒っぽくなる。西太平洋の熱帯域には、クロホシイシモチに似ているが尾柄の部分に黒い線があるものなど、近縁種が色々といる。

ネンブツダイの分布は千葉県以南で、新潟県以南の日本海にも生息している。琉球列島では極めて珍しい。海外では朝鮮半島、中国、香港、台湾、フィリピンやインドネシアに生息する。クロホシイシモチは千葉県以南に分布するが、ネンブツダイと異なり日本海では長崎など九州沿岸を除き少ない。琉球列島でも浅いサンゴ礁域に普通に見られる。海外では台湾、澎湖、フィリピン、ニューカレドニアなどに生息する。ネンブツダイよりもやや南方系で、島嶼を好むのだろうか。

どちらの種も釣れた後逃がされることが多い。残念なことに、防波堤の上に棄てられてしまうものも多い。この仲間は揚げ物や塩焼など、意外と美味しい。ぜひ持って帰って食べてみてはいかがだろうか。

縦帯があるテンジクダイ科

今回紹介した2種はいずれも頭部や体側の背中の方に縦帯があるが、尾柄付近まで達する縦帯はない。一方、太平洋側では体に縦帯が数本あるテンジクダイが何種か釣れるので代表的なものを紹介したい。

オオスジイシモチ 高知県 古満目湾
体に5本の縦帯がある。「魚類検索第三版」850頁の検索図では4本の暗色縦帯となっているが、背鰭基底のは除いてあるため。この帯の数でコスジイシモチとは容易に見分けられる。色彩が薄いような気がするが、これは夜間に釣ったため。この仲間は夜間に釣れると昼間とはちがう色合いになっていることも多い。沿岸の岩礁域にすむ普通種。房総半島以南の太平洋岸、島根県以南の日本海岸、九州西岸、伊豆諸島、琉球列島、海外では西太平洋~オーストラリアに生息する。

コスジイシモチ 三重県 島勝浦港

オオスジイシモチに似ているが、体に7本の縦帯があるのが特徴。オレンジ色が強く、オオスジイシモチよりもカラフルな印象を受ける。やや深所にすむ、とあるが、夕方から夜間にかけて防波堤の浅い場所にも浮かんでくるようだ。
分布域は伊豆諸島、千葉県以南の太平洋岸、兵庫県以南の日本海岸、伊豆諸島、小笠原諸島、琉球列島。~西太平洋。ただし熱帯や亜熱帯域に生息するコスジイシモチは本州のものとは明らかに体の模様が違い、別種とされるべきかもしれない。

これらテンジクダイの仲間が見分けられても、別に地球が変わるわけではないし、芸能界に入れるわけでもなし、あるいは国会議員になれるわけでもない。しかし、魚を見分けられたり、魚の名前を覚えたりすると、釣りや魚とりがずっと楽しくなるのは絶対に確かなことであろう。これからは「ネンブツダイ」とひとくくりにしないで、1種ごとに和名で呼んであげたい。

●テンジクダイ科

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