クサカリツボダイ

クサカリツボダイ

今日はいつもの北海道シリーズから外れて、鹿児島の深海性魚類のご紹介。

スズキ目・スズキ亜目・カワビシャ科・クサカリツボダイ属のクサカリツボダイ。

あまり聞きなれない名前の魚だが、意外とこの魚はよく食べられている。スーパーなどでもたまに売られている「つぼ鯛」の干物は本種の干物であることが多い。故阿部宗明博士の「新顔の魚」でも1970年に登場、それによれば「1969年にソ連からかなり大量に、日本の商社へ売り込みがあってから注目され始めた」ものだという。

カワビシャ科は英名Armorheads、甲冑の頭。頭部が露出した骨に覆われていて硬いことからこの英名がついたのだろう。写真を見れば納得。一方和名についてはテングダイ、ヒョットコダイなど、ユニークな和名のものがいる。カワビシャ科は世界で8属、約13種が知られているが、属についたは流動的で、たとえばクサカリツボダイ属は属として認められたり、あるいはツボダイ属の中に含められたりする。

頭部だけでなく、胸鰭の周辺もこのような巨大な骨が見られる。

臀鰭は4棘。スズキ亜目の魚は2~3棘のものが多いような気がするが、ツボダイやクサカリツボダイは臀鰭棘条数はふつう4である。カワビシャやテングダイ、ヒョットコダイ、ショートボアフィッシュ、あるいはロングスナウトボアフィッシュといった種は3、メーターオーバーになるオーストラリア近海産の種ジャイアントボアフィッシュは2と、臀鰭棘数にはばらつきがある。

クサカリツボダイは深海性で水深200~400mほどの場所で釣りや底曳網で漁獲される。分布は北半球のみに限られ、房総沖、八丈島近海~天皇海山、ハワイ諸島、北米西岸に分布する。近縁種のPentaceros richardsoniは南半球の産で「ニュージーランド海域の水族」では南半球産のP. richardsoniに「クサカリツボダイ」の和名を使用するなど、やや混乱があるので注意。「新顔の魚」でもクサカリツボダイの学名はP. richardsoniとなっているが、その後1983年にこの科の再検討がなされ、Pentaceros wheeleriが新種記載された。これが日本に分布するものであり、クサカリツボダイの和名があてられるものはPentaceros wheeleriである。クサカリツボダイ属はこの2種のみが知られている。もう一種学名がついたのがいたが、それはクサカリツボダイと同種とされた。

クサカリツボダイは八丈島などにも分布し、深場の釣りで釣れることもある。しかし鮮魚としてお目に罹れることは少ない。今回はせっかくの鮮魚だったので、刺身にしてみたが、これが脂ののりも程よく美味なものであった。

●カワビシャ科

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