ネズミギンポ

ネズミギンポ

スズキ目・タウエガジ科・ネズミギンポ属のネズミギンポ。

ネズミギンポは深海性のタウエガジ科の魚で、水深1000mを超えるような場所からも採集されている。分布域は極めて広い。北太平洋、日本海、オホーツク海、ベーリング海から北大西洋のグリーンランドにまで分布する。日本では北海道~東北地方までの太平洋岸、北海道~新潟県の日本海岸、大和堆に分布している。

タウエガジ科の魚はいくつかの亜科に分けられている。魚類検索では亜科について触れられていないが、Fishbaseを参考にしたら概ねこのような感じ。

1.Azygopterinae

北海道にも生息するオビギンポと、千島列島産のAzygopterus corallinus、計2種のみを含む小さなグループ。

2.Chirolophinae

多くの種が頭部に皮弁をもつ。フサギンポ、フサカケギンポ、ケムシギンポ、キタフサギンポなど4属12種を含むグループ。沿岸の浅場に多いイメージ。

3.Lumpeninae

ヤセギンポやモンツキガジ、ヌイメガジ、ウナギガジなどを含むグループ。2009年に新種記載されたフリソデガジを含む。体は軟弱であるように見えるがかなり大きくなる種を含むグループ。今回のネズミギンポはここに含まれる。大陸棚縁辺から深海に生息するイメージ。

4.Opisthocentrinae

ムロランギンポやドロギンポ、ガジなどのグループ。トンガリギンポ属もこの仲間に入れられているが、左右の鰓膜が癒合しているものが多いようだ。一見ニシキギンポ科の魚のように見えるものもいて、ドロギンポは水深15~60m以浅の海底にいるとされるが、それ以外の種は浅い藻場に多いようなイメージ。6属12種、日本産7種。

5.Stichaeinae

タウエガジやゴマギンポ、ムスジガジ、トゲギンポなどのグループ。臀鰭軟条の最後方の軟条が棘条のようになるという変わった特徴をもつものも知られている。タウエガジ属を除き複数列の側線を有しているようだ。沿岸の岩礁域に多いイメージ。6属14種。

6.Xiphisterinae

ダイナンギンポや「キタノトサカ類」のグループ。短い茶褐色の体がユニーク。主に浅い磯に見られ、潮溜まりでもよくみられるようなイメージ。9属19種が知られる。

7.Neozoarcinae

背鰭に軟条があり、研究者によってはこれをゲンゲ科に入れている。背鰭棘条数が120棘以上と、他の種よりも多くの背鰭棘をもつ魚がいる。イトギンポ属、ヒメイトギンポ属、カズナギ属の3属13種からなり、分布域は日本や韓国、極東ロシアなど東アジア地域に限定される。日本には9種または10種が分布する。後者2属は沿岸域の岩礁や藻場に生息するがイトギンポ属は深海性でトロールで漁獲される。

ネズミギンポは上記の通りLumpeninaeに含まれる種。鰓膜も切れ込みドロギンポみたいに癒合していない。亜科の和名の表記はあえてしていなかったが、ウナギガジ亜科という和名がある。上唇は伸縮できず、前鋤骨や口蓋骨に歯がないなどの特徴をもち、他のウナギガジ亜科と区別できる。ネズミギンポ属は本種のみが知られる。

私がこの奇妙なタウエガジの仲間と出会うのは今回が初めて、ではない。かつて東北地方太平洋岸の深海底曳網で漁獲された個体を頂いているのだ。その時の個体は、今回よりもかなり小さい。今回頂いたのは体長298~307mm (全長324~333mm)の個体であったが、この個体は94mmであった。体に目立つ斑紋がないことで近縁属のウナギガジやヌイメガジと区別できる、とされるが、この個体には灰色の体に濃い黒っぽい斑紋が見られた。臀鰭軟条数がやや少ないのも見分けるポイントのようだ。大きい物では全長40cmになる。

底曳網漁業で漁獲されるが、練製品の原料となる程度であまり食用にはされていない。今回はアカゴチなど他の魚何種かとともに唐揚げでいただいた。美味なのだが、細身の体で骨が気になるので、食べにくい。今回も坂口太一さんからいただきました。ありがとうございました。

●タウエガジ科

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