同定が難しい魚たち

同定が難しい魚たち

魚の中には同定が非常に難しいものがいる。私が同定する魚は基本的に魚を白いバックの上から撮影する。あるいは防波堤や岩の上に魚を置いて撮影するのを見ることが多いが、それでも確実に同定できるわけではない。さらに困ったことに写真だけではきわめて同定が難しい魚もいるのだ。そのような魚をあげてみたい。

1.ハダカイワシの仲間

ハダカイワシの仲間は写真からの同定が意外と難しいグループだ。発光器の分布で同定を行うのだが、現物があっても、ハダカイワシをよく見ている人でないと難しいことがある。勿論歯の分布や、鰓耙数、あるいは胸鰭軟条数など、写真からだけでは調べるのが困難なものも多々ある。何度か同定してコツをつかむ必要がある。

2.サバの仲間の幼魚

日本に分布するサバはマサバ・ゴマサバの2種。成魚は腹にごま模様が出るか、出ないかで同定することが多いが、これはあまり使えないようだ。成魚でマサバとゴマサバを見分けるには体側正中線上に1列の暗色斑点がないか、有る場合は背側の虫食い状斑紋とつながるのがマサバ、体側正中線上に1列の暗色斑点があり体背部の虫食い状の斑紋と連続しないのがゴマサバ、とされる。しかし幼魚は模様だけでは判別しにくいので、別の方法を使用する。基本的にマサバは第1背鰭棘数が9~10、ゴマサバは第1背鰭棘数が11~12とされる。これで見分けるのが簡単であろう。ただしこれで判別するには、ちゃんと背鰭の棘条数が分かるような写真を撮影しておく必要がある。またサバ科は第1背鰭と第2背鰭というふたつの背鰭があるが、第2背鰭にも棘がある。「背鰭の棘を数えて…」というのではなく、「第1背鰭の棘を数えて…」というべきであろう。

3.ネズッポの仲間

ネズッポは釣り人には「めごち」「がっちょ」などと呼ばれあまり歓迎されないが美味しい魚である。このネズッポ科の魚は日本に38種もいて、特にネズッポ属の魚はいずれもよく似ていてわかりにくい。縦扁しているこの仲間、よく上から撮影されることが多いが、この仲間は上から撮影しただけでは特徴が分かりにくく、同定は困難である。体側、できれば細い虫ピンなどで鰭を広げて撮影するべきものである。特に背鰭の形、斑紋、臀鰭、尾鰭の色彩や模様は重要な同定形質となる。ちゃんと撮影すること。

4.ボラの仲間

ボラの仲間も意外と悩ましい群である。胸鰭基部に金色の模様を有するコボラ、背中正中線に明瞭な隆起をもつセスジボラ、胸鰭が黒く尾鰭の形が特徴的なオニボラなどは簡単に他種と見分けられるが、フウライボラやナガレフウライボラ、タイワンメナダとカマヒレボラのように、一見見ただけでは同定が出来ない種も多い。ちゃんと口の中の歯の様子まで見られるような人ではないと、同定することは難しいだろう。

5.ブダイの幼魚および雌

ブダイの仲間は日本に37種もいるが、雌や幼魚は同定困難なものが少なくない。とくにアオブダイ属、ハゲブダイ属の雌や幼魚で顕著だ。オビブダイとオウムブダイ、スジブダイとレモンブダイなど、識別が困難なものさえいる。さらにひどいことに、すべての種で背鰭・臀鰭の棘・軟条数が同じであり、鰭条式を用いた識別ができないのだ。最近でたベラ&ブダイ図鑑はブダイ類の雌や幼魚もカバーしてはいるものの、やはりこれらの種の区別は困難であるようだ。

6.メジロザメの仲間

サメやエイなど板鰓類はなかなか同定が難しいグループである。メジロザメの仲間は種類が多く、肉は練り製品、鰭はフカヒレになり、浅瀬までやってきて釣れた獲物を食いちぎる、あるいは海水浴場周辺に出現しビーチが封鎖されるなど何かとヒトと関わりがある群であるにもかかわらず、同定はむずかしい。メジロザメの同定には鰭の位置関係、両顎歯の形、鰭の色彩などが用いられる。体全体が写っている画像や、両方の顎歯の形状がわかるような写真が同定に必須だ。しかしながら実際には写真だけではわからないこともある。できることなら個体を残しておくべきであろう。

7.シマドジョウの仲間

従来のシマドジョウのグループは同定がしにくい。ニシシマドジョウとオオシマドジョウは同じ地域に分布している。この2種の見分けには尾鰭の基部付近にある横に並んだ黒いゼリービーンズのような形の斑紋の濃さが有効とされていたが、それだけでは難しく、分子分類学的な手法を組み合わせないと、確実なことは言えないようだ。

8.トウゴロウイワシの仲間

熱帯から温帯域に生息するイワシに似た小魚。しかしイワシとは近い関係にあるわけではない魚。イワシの仲間とは背鰭が2基あることや腹鰭の位置関係から区別は容易だが、トウゴロウイワシ科の中の他種との同定が難しい。本州から九州にはこの仲間はトウゴロウイワシ、ギンイソイワシ、ムギイワシ、ヤクシマイワシ、ホソオビヤクシマイワシと5種がみられる。とくに最初の2種は互いにそっくりさんで、肛門の位置が分からないと同定は難しい。ただこの2種は分子分類の観点からはよくわかれているようで、別属である可能性が高いとされる。

9.メバル類

2008年にクロメバル、アカメバル、シロメバルと3種に再度分類された「メバル」。しかしながらこの3種の同定は難しい。この3種のメバル類、「アカメバル」「シロメバル」「クロメバル」の名前の由来は勿論「色」であるが、実際には色の変異も多い。胸鰭軟条数や側線有孔鱗数でこの3タイプは区別できるようだが、実際にはこれらの特徴で同定するのは極めて難しい。

10.フナ

こんなのわかるわけがない。日本産のフナはギンブナを除くと2種が有効とされるが、4亜種を含むCarassius buergeriの亜種は同定が困難だ。鰓耙を見たり、分子分類学的な手法に頼りたいところだが、それさえも困難なもようだ。ただしゲンゴロウブナだけは鰓耙が極端に多いためC. buergeriと同定が可能。鰓耙数はプランクトンを食べるような魚は多いということであるが、たしかにゲンゴロウブナの改良品種であるヘラブナはプランクトンのようにばらける練り餌で釣る。

他にもいるが、きょうはここまで。

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コメント

  1. マスターグリ より:

    なんと
    MSさんでもここまで同定が難しい種類が多いもんなんですね汗

  2. 椎名 より:

    お久しぶりです。魚の同定は難しいです。一筋縄では行きません。写真だけではだめなものも多いです。分子分類学の発展により今後さらに写真で同定できない魚が増えてくると思います。

  3. がほー より:

    今後はブダイ系は冷凍して送ります(特に幼魚)。