ハナトゴエソ

ハナトゴエソ

今回は以前入手したものの、このブログでは紹介していなかった魚をご紹介します。ヒメ目・エソ科・アカエソ属のハナトゴエソ。

底曳網漁業で注目されるのは、水深200m以深の「深海」に生息する魚が中心です。エソ科の魚も底曳網漁業で漁獲されるのですが、残念ながら深海性のエソ科魚類、というよりも水深200m以深を主な生息地としているエソ科魚類というのは多くなくあまり注目されにくいものです。

その中でもこのハナトゴエソは水深150-250mほどの深さに多い種で、浅い場所では48mからも記録されていますが、深い所では水深700mほどの場所からも採集されています。

この個体は高知県産。日本では三重県、高知県、東シナ海に分布し、世界では南シナ海やインドネシア、ハワイ諸島などに分布しています。学名のSynodus kaianusの意味は不明ですが、Saurus kaianus(=Synodus kaianus)の基産地はインドネシアのカイ諸島となっており、それに因むのかもしれません。

ハナトゴエソによく似た種類に、チョウチョウエソというのがいます。チョウチョウエソは若狭湾・相模湾以南、東シナ海、~インド-西太平洋に生息していて、インド洋の方に分布が広がっているといえます。チョウチョウエソも底曳網でよく漁獲されていますが、主な生息水深は100m前後で、ハナトゴエソよりも浅いのが特徴です。

この2種の見分け方は、吻の長さです。ハナトゴエソは明らかに上顎が下顎よりも突出しているのに対し、チョウチョウエソは上顎と下顎の長さが同じくらいです(写真ではわかりにくいです)。標本を作る際には基本的に顎を閉じるようにして固定するように言われますので、標本を撮影したものではわかりにくい場合があります(日本の海水魚、など)。また体側の斑紋もチョウチョウエソだと飛翔したチョウのようなXやYに近い形なのに対し、ハナトゴエソの体側の斑紋は長方形や円形に近いような感じです。

ハナトゴエソの頭部(上顎が下顎とくらべ明らかに長い)

チョウチョウエソ頭部(見えにくいですが上顎と下顎は同じくらいの長さ)

体側後方に脂鰭があります。体側の模様はY字形ですが、チョウチョウエソほど明瞭な形ではありません。

食性は動物食性で小魚などを食するのだと思われます。写真の個体は5月に採集された成熟した卵をもった雌の個体で、繁殖期は5~6月ごろなのかもしれません。分布域が広めの割には数は少なく、チョウチョウエソよりも少ないくらいです。エソの仲間の大型種、例えばマエソ、トカゲエソ、ワニエソなどのマエソ属は食用魚(練り製品の原料が主)として扱われますが、本種はあまり利用されていません。

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