ふたつの放流問題 ニシキゴイとシジミ

ふたつの放流問題 ニシキゴイとシジミ

▲愛媛県・宇和島市の川を悠々と泳ぐニシキゴイ。コイはヘドロを取り除く云々と看板にかかれていましたが、実際は…。

炎上するニシキゴイ放流イベント、優雅な姿の裏に潜む ”利権” (Wedge)

Wedgeという雑誌の記事です。この記事については電子化されており、インターネット接続環境があれば無料で読めるようです。この雑誌?の論調は個人的にはあまり好きではないのですが、今回はきちんとまとめられた記事があるので此処でご紹介します。

以前このブログでも取り上げたニシキゴイの放流問題についてきちんと説明してくれています。かなり詳しく放流の問題を取り上げてくれて嬉しいものです。

ただし、疑問もあります。

昨年の12月にも川崎の河川に放流が行われてきたことも取り上げられたのですが、それは例の多摩川の「なんちゃらポスト」の運営者であったことが明らかになっています。そのなんちゃらポストの運営者氏は「ニシキゴイ放流によって住民や行政が川に関心を持ってくれる」などと述べているのですが、これによって放流はいいこと、というとらえられかたをされないか不安です。

さらに本文中にもあります「カワウやサギに食われるから生き残れない」というのは、全く意味不明な理論といえます。カワウやサギがコイを食べるのであれば、なぜコイは生き残って成長するのでしょうか。この放流が行われた河川には、在来の生物も見られるといいます。コイを放してしまい、在来生物は失われなかったのでしょうか。

高度経済成長期に「死の川」となった河川にも、小さな生命が生き残っていた見たいです。それらを守りながら、魚の復活を待つのが重要なのであり、綺麗だから、川に関心を持ってもらえるから、という理由で、コイを放すのはいかがなものでしょうか。ただ今回取材を受け入れたなんちゃらポストの管理人氏はまだよい方です。5月の山梨の件については放流をしたNPO法人や、コイを導入した業者は取材について全く音沙汰なしだったということです。

今回この記事で私がよかった、と感じるのはアユの冷水病の問題と、コイの遺伝的撹乱の問題取り上げられたことです。放流といえばこれまで、「生態系を乱すから」とか、そういう理由で問題視する人が多かった気がするのですが、それだけではなく、遺伝的撹乱の問題や、病気など、目に見えない問題がようやく理解されるようになったといえそうです(もっとも、甚大な被害をもたらしたコイヘルペス問題から長い時間が経っていて皆が忘れてしまっていたことも大きな理由と言えそうですが)。

今月15日には、大阪で放流問題に関するシンポジウムが開催(日本魚類学会公開シンポジウムのお知らせ)されます。主催は日本魚類学会、会場は近畿大学東大阪キャンパスカデミックシアターです。この問題に興味を持たれた方は行ってみてはいかがでしょうか。リンク先は日本魚類学会のウェブサイト。参加費無料で当日受付ですので、ぜひどうぞ。

==========================================

ここで、クイズです。

最も悪質な放流といえるのは、どれでしょう。どれも悪質なものですが。

1.多摩川にアメリカ産の淡水魚 オオクチバスを放す

2.多摩川にアメリカ産の淡水魚 ブルーギルを放す

3.多摩川に島根県宍道湖の貝 シジミを放す。

住民、中学生がシジミを放流 「川遊びできる多摩川」願い込め(産経新聞)

※記事がなくなってしまったようなので、Yahoo!のニュースをリンクしてます

もうこの行為のどこがおかしいのか、わかりますね。島根の宍道湖のシジミという外来生物を放す住民と中学生。アメリカ原産のオオクチバスやブルーギルを放す行為とどちらが悪質なのでしょう、と聞かれたらわたしはシジミと答えるでしょう。

どちらも悪質なのですが、オオクチバスやブルーギルはまだ外来生物であることがわかりますので、駆除するのは簡単です。しかしシジミは、素人には在来集団なのか、外来集団なのかわかりにくいのです。上記の3つの中では唯一法律(外来生物法)違反ではないのがシジミを放すことなのですが、やっていることは極めて悪質です。外来生物法は、特定外来生物や、要注意外来生物のみを放すことを問題視しているのですが、全ての外来種、国内にいるもの、いないものを含めて放流を違法とするようにすべきです。

環境大臣はEM菌を野にばらまくような団体に環境大臣賞をあたえるようなとんでもないことをしてしまったのですが。何をかいわんや…。

なお、今回の「利権」これは魚を販売して商売をしている人の事なのですが、これについての問題はまた今度。

シェアしてね

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSやってます