クロダラ

クロダラ

本日も変わった魚との出会いがありました。タラ目・チゴダラ科・イトヒキダラ属のクロダラです。

最初画像を見たときは「イソアイナメ」と思いまして、これでも大喜びだったのですが、届いた魚をよく見ると、2本の細長い腹鰭があったのでした。

このような腹鰭は、イソアイナメではありえない。胸鰭がこのように糸状に伸び2軟条という特徴をもつのは、日本産としてはイトヒキダラ属のみの特徴です(イトヒキダラ属とされることが多いヒメダラを含む、ヒメダラ属を認める場合、ヒメダラ属もこれにあてはまる)。他の多くの属の種は、胸鰭が短いか、長い場合でも5軟条はあります。イソアイナメは腹鰭が9軟条あります。

イトヒキダラやヒメダラと違うところは、第1背鰭は高くなりその第1軟条は糸状に長く伸びるところです。ヒメダラやイトヒキダラの第1背鰭は小さく背鰭軟条も糸状には伸びません。背鰭軟条が糸状に伸びる種としてはバラチゴダラなどがいますが、この種は腹鰭の軟条数によりイトヒキダラの仲間と見分けられます。

他の日本に生息するイトヒキダラ属の魚では、パラオイトヒキダラに近いと言われる本種。パラオイトヒキダラとは、吻部の有鱗域の形が若干ことなります。パラオイトヒキダラは有鱗域の先端が2つに分かれるような形になり、そうならない本種との見分けは容易です。

クロダラは水深1200m以浅の深海に生息する「深海魚」です。九州-パラオ海嶺に分布するとされましたが、神奈川県横浜や和歌山県でも採集されています。この個体は釣りで採集されたものと思われ、胃が飛び出しそうです。また腹鰭の長さも、パラオイトヒキダラと大きく異なります。

イトヒキダラの仲間は10数種が三大洋の深海に生息しています。日本産はヒメダラを含めると4種です。昔の図鑑ではこのほかにホテイイトヒキダラLaemonema filodorsaleというのが掲載されていましたが、最近はこれをLaemonema robustumやL. modestumと同種とみなしていることが多く、和名をクロダラとしています。ただしこれについては個人的には納得していません。FishbaseのLaemonema robustumとされている写真(マデイラ産)は腹鰭が長く臀鰭にまで達しているのですが魚類検索によればクロダラは腹鰭が臀鰭どころか肛門に届かないので別種と思われます。この個体は臀鰭の形などその昔の図鑑に従えばホテイイトヒキダラということになります。

最後にこの仲間ではもっとも一般的な魚である「チゴダラ」との区別について。

石田拓治さん、ありがとうございました。

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